秋模様
雲が空高く泳ぎだす そよめく秋風に群れをなして 玻璃(はり)のように澄み切った 水面(みなも)を揺らすことなく すいすいと 跳ねる飛沫は時雨となって 残暑を塗りつぶし 色なき風が吹く うそ寒げに呟く そんなに色がないか よく目を凝らして見てごらんよ 色めく香りが君を誘うはず 金木犀香りを餌に 釣り... 続きをみる
7月8日
涙が雨に変わる そんな顔しないで 濡れるのは僕だけでいい 無邪気に笑う 君が好きだから 矢が描く 流れのように 君の心を掠め取って 川をくだっていく ゆるやかに揺れていく 星々を辿って 今年は泣かないのかい 見つめる君に問いかける まあいいや 何度でも洗い流してあげるから 笹の葉は囁く 楽しげな声... 続きをみる
空想旅行
開けばそこは 煌めく文字の星々 かき集め 紡いでいくよ だってこんな廃れた日常から ボクを連れ出してくれるから 文字を辿って ページをめくるたび 変化していく情景 さあ踏み出してみようよ だってボクだけの世界 だれの邪魔も入らない たとえ この旅が幻想だとしても 辿っていくほどに 消えていく日常 ... 続きをみる
子供以上 大人未満
大人になるための階段なんてすぐに上れると思っていたんだ だけどいつまで経っても 上れやしない なあ 大人になるにはどうしたらいい? 夕焼けを背に伸びた君を見て ぼくは大人の君に問いかける だけど君は不満そうに ポツリポツリと愚痴を零すだけ だからぼくはそれを遮るように言う ぼくはもう子供以上だって... 続きをみる